11月がスタートしました。先日は文化の日、何か文化を味わう一日を過ごしたいものです。この日は午前8時半過ぎに蟹江町を出発名古屋へと出かけました。写真は老舗料亭玄関前を覆う紅葉、まだまだ青々としていました。今月中旬以降に見頃となるような感じでした。
- 歴史散歩
先日は名古屋昭和区の八事地区に出かけました。昨年も出掛けましたが、昨年は地下鉄など公共交通機関を利用し、何度も乗り換えがあるので今年は自家用車で出かけることにしました。目的地近くに駐車場があるのでそこに車を置いて歩くことにしました。
名古屋市の東部に位置する八事地区は古くから興正寺を中心に栄えた門前地区、交差点を渡ると境内に入れます。一帯は昭和初期から都市開発が行われ高級住宅街が広がり、大学が進出するなど名古屋でも「山の手」地区のような存在となっています。
水郷らはその反対側を歩き進みました。何やら昔ながらの門が見えてきました。これは名古屋でも有名な老舗料亭「八勝館」の門です。
八勝館は料理評論家、陶芸家でもある北大路魯山人にも所縁のある老舗です。学芸員時代に特別展を企画して八勝館所有の魯山人のお皿をお借りしたことがあります。魯山人のお皿を梱包して運ぶのはとても緊張した覚えがあります。
水郷らが訪れた目的は、この日催される中日文化センター主催の「秋の大茶会」に参加するためです。和服姿の方々が門に入るところを撮影させていただきました。
門を入ると建物玄関前に茶会参加の皆さんが集まっていました。多分ここで集合されるために待ち合わせを行っているのでしょう。この日の茶会には約700名の方が参加されるとのことでした。
水郷らは靴を預け八勝館玄関から建物内へと入りました。本日の茶会は松尾流、煎茶道・売茶流、香道・志野流、裏千家そして表千家の五流で構成され、その中から三席と点心(食事)が選択できるようになっているようでした。
受付を済ませて取り敢えず、濃茶席の松尾流を選ぶことにしました。まだ午前10時過ぎなのですが、お茶をいただけるのは12時20分過ぎらしいので予約を済ませて取り敢えず他席に行くことにしました。
八勝館庭園を歩きながら他席が置かれている場所へと移動することにしました。庭園は青々とした苔が敷き詰められ紅葉や桜が植樹された和風仕立て、とても落ち着いた雰囲気の庭園でした。
写真は茅葺の建物田舎家です。まずは裏千家の薄茶をいただくことにしました。ここは15分くらい待てば良いようでした。暫く周辺の庭の様子を観察させていただきました。
ちゃっかりと水郷の写真も撮影していただきましたよ。もう少し愛想があると良いのですがね。v(^^;)。。
待ち時間の間に裏千家の茶道具が展示されていたのでこれも拝見させていただきましたよ。どれも由緒ある品々でした。
薄茶を一服いただき、茶道具を拝見させていただきました。どれも裏千家の名器、説明を聞きながら感心させられました。
次の席へと移動することにしました。庭園に流れる水路、とても清らかな流れでした。八勝館は、明治10年代に材木商が別荘として始めたものを、大正14年に料亭として創業されたとのことです。「八勝館」の名は明治時代に雲照律氏師による「八勝道」から由来、または別説として、一帯の丘陵地から八方に山々が眺められた景勝の地であったことに因むとのことです。
茶会に力を入れるのは「お茶の心はおもてなしの心、お客様との心を通わせ四季のうつろう様を共に味わう、ゆったりとしたくつろぎ。暫し日常の喧騒を離れ、時を忘れて、ひと時を愉しむ」ことを目的としているとのことです。
第2席目は表千家による野点を愉しむことにしました。野点は開放的な気分になるので有難いですね。
快晴状態の青空の下の野点、気持ちの良いものですね。お菓子は「峰の風」という上品な栗のお菓子でした。これが抹茶によくマッチしていました。(*^^)v。。
お茶を楽しんだ後に皆さん、いろいろ周りの写真を撮影しながら雑談をされていたようですね。これが野点の良いところです。
野立てを味わい再び庭園を散策しながら本館へと戻ることにしました。周辺には紅葉などが植樹されていましたが、見頃は今月中旬以降となりそうな感じでした。
午前11時過ぎに2席目を終り本館に戻りました。まだ3席の濃茶までは時間がありますので、ここで点心をいただくことにしました。皆さんも同じような感じで会場は行列状態、大広間前の廊下で約30分ほど待って会場内に入ることが出来ましたが、案内させた席はちょうど窓越しの席で庭園の様子を眺めることができる絶好の場所でしたよ。暫くすると点心が配膳されてきました。
菊花ご飯や秋鮭の焼き物、イクラ、銀杏など秋の旬を迎えた素材を中心とした点心、美味しくいただきました。流石名古屋指折りの料亭の一品揃いの点心でした。(^_-)-☆。。
第3席目は濃茶の松尾流です。点心を済ませたらちょうど程良い時間となりました。暫し寄付の「松の間」で待機、その後、お隣の菓子席に移りお菓子をいただきました。やがて案内の声がかかり写真先の本席の「残月の間」へと移動しました。
本席から先程の寄付きの建物を撮影してみました。本席でも松尾流の茶器の数々を説明を受けながら拝見しました。暫くして呈茶席「御幸の間」に入りました。濃茶は一般の廻して飲むのではなく「各服点(かくふくたて)」というスタイルでした。
濃茶はとてもトロリとした味わいでした。これで3席終了、本日の茶会は終了です。実は、かつてとてもお世話になった方が香道の責任者でしたので、こちらも訪ねてみたかったのですが、香道の知識と嗜みが無いのでスルーすることにしました。でも、軽くてもご挨拶だけはしておくべきだと思い、伺いましたよ。
午後2時前に茶会会場の八勝館を立ち去り自動車でもう一つの目的地東区に移動しました。目の前に西洋風の建物が見えてきました。日本最初の女優、川上貞奴に因む「二葉館」です。
貞奴は、女優を引退した後に、大正9年頃から電力王と呼ばれた福沢桃介とともに名古屋市東区に暮らしていたとのことです。和洋折衷の建物は斬新さと豪華さから「二葉御殿」とも呼ばれ、政財界や文化人のサロンの役割も果たしていたとのことでした。玄関から入ると大広間、板の床やステンドグラスなどが設けられるなど、とてもモダンな部屋でした。階段の曲線も西洋風ですね。
廊下の壁面に設置されたパネルには、平成17年の春にこの地に復元され、その後の経緯などが説明されていました。
この部屋は食堂として利用されていたとのことでした。貞奴や桃介に関する資料が多く展示されています。今日は結構賑わっているようでした。
展示室壁面には二人の経歴、ケース内にはそれぞれに関する図書などの文献資料が多く展示されていました。
次の部屋に進むと畳が敷かれた和室がありました。この部分は、国の文化財に登録されているとのことでした。
貞奴愛用の品々など生活の様子を理解するのには良いようですね。小さな部屋に書斎のよう空間がありましたよ。
本日の目的は、只今2階の展示室で開催されている江戸川乱歩に関する展示を見物するためです。蟹江町の資料館が所蔵する乱歩や小酒井不木に関する資料も展示公開されていました。こちらは八勝館の場合と違って学芸員時代に集めた資料がこのように活用いただいていると感激ものでした。この2階には名古屋市出身の小説家坪内逍遥、城山三郎を始めとする品々が常設展示されています。
ここでも記念撮影を行いました。先程の茶会よりもこちらの方がピッタリした感じですね。何れにしても、もう少し愛想があると良いのですがね。v(^^;)。。
約1時間ほど建物内を見学して立ち去ることにしました。文化の日を丸々楽しく過ごさせていただきました。
名古屋市二葉館一帯は「文化のみち」としてまちづくり活動が行われ、この日はちょうど「歩こう文化のみち」というイベントが開催されて多くのまち歩きを楽しむ方が参加していたようです。
本日の催しでいただいた資料の数々です。我が家に帰って資料を拝見しながら、再度文化の日の一日を味わいました。たまにはこんな一日を過ごすのも良いものですね。(^_-)-☆。。