多くの見物客に見守られる中、「こも」が大きな石に打ちつけられていました。今週の水曜日は、あま市下之森地区にある八幡神社へと出かけ、「おこわ祭」を見物してきました。
この日は朝から快晴状態、早朝は放射冷却により冷え込みましたが、時間の経過とともに春の到来を感じる様な陽気となる祭日和の一日でした。午前10時過ぎに、蟹江町須成地区に隣接するあま市下之森地区に出かけることにしました。我が家から車と徒歩で僅か5分ほどで祭が執り行われる八幡神社に到着しました。
この日は建国記念日の祝日、神社前には日の丸が掲揚されています。境内地の今では珍しくなった火の見櫓近くには「厄払い おこわ祭」の掲示板が設置されていましたよ。
写真は八幡神社拝殿です。周辺は祭見物の大人や子ども達で賑わっていました。
拝殿内では祝詞奏上が行われ、祭役員や厄年を迎える方々が神妙に祈願されていました。
写真では良く解りませんが、神殿前には本日使用される「おこわ」の入った御櫃が供えられていました。
本日の神事の一方の主役となる石には注連縄が張られています。結構大きな石でしたよ。
神事が終了し、祭役員の方々が何やら作業を行っているので、水郷も見物させていただくことにしました。「こも」に「おこわ」が入った御櫃を入れているところでした。
御櫃を入れた後に、「こも」の周りを頑丈に縄で結び付けていました。これは石に打ちつけた際、「おこわ」が飛び出すのを防ぐために行うようです。最後の仕上げに、「こも」へお神酒を吹きかけ準備完了です。
「こも」は拝殿前に供えられて神官によりお祓いが行われます。その後厄年を迎える皆さんが「こも」を持って神社外へ出られて行かれました。
祭役員を先頭に境内外を行進し、鳥居をくぐって再び拝殿前に入ってきました。
厄年を迎えた皆さん、厳粛な行事として神妙な感じで「こも」を運んで行かれました。
その後石を取り囲むようにして石の上に「こも」を供え置きました。
まずは男性の厄年の方から二人一組になって「こも」を降り下して石に叩きつけました。「よいしょ!」の掛け声で、これを数回続けます。
次は女性の方が同じように行いました。「こも」の重量があるので、こちらは四人一組のようです。
厄年の方が終了、来賓のあま市長さんと教育長さんが登場し、祭事を行いましたよ。写真では簡単なような気がしますが、二人の息が合わないと、なかなか上手く石に打ちつけることができません。とてもタイミングが難しいようでした。
その後、祭役員さんや見物の方も参加されて、次々と「こも」が石に打ちつけられて行きました。
周囲の雰囲気に慣れてくると、今まで見守っていた子ども達も積極的に神事に参加してきましたよ。
これを繰り返して神事が終了です。祭役員の方が、「こも」を運んで縄をほどきます。終了の合図ともに子どもたちが一斉に「こも」に集まってきましたよ。
「こも」の中の「おこわ」争奪戦開始です。もう団子状態で写真撮影のために立ち寄ることができません。写真右は終盤戦ですが、未だに残り少なくなった「おこわ」の争奪戦となっていました。まだまだ凄い状態でした。
激しい争奪戦でしたが、案外要領の良いのは写真のとおり女の子たちのようです。(^^ゞ。。手のひら一杯に「おこわ」をゲットしていましたよ。最初は「おこわ」でしたが、何度も石に叩きつけられているうちに、おこわは餅状(はんごろし)になっていましたよ。
このお祭は、厄払いの他、無病息災、五穀豊穣をお祈りするお祭なので、取った「おこわ」は、独り占めするのでは無く、見物している周囲の方にも施すのがルールなようです。叩きつけられているうちに御櫃が割れたり、縛り付ける前に御櫃へ「こも」の一部を切ったものを入れているのもあり、餅には藁が結構混入している状態となっていましたよ。それでも皆さん、食べると夏病みしないと云う縁起物ですから、笑いながら口に入れてみえました。
写真は御櫃が割れた木片です。これをいただき家へ持ち帰ると1年間雷が落ちないようですよ。但し、おかみ様の雷には効き目が無いようですから気を付けたいところです。v(^^ゞ。。なかなか手に入るものでは無いのですが、日ごろの行いが良いのか、旧知の方と立ち話をしていたら祭役員の方からいただきましたよ。これはラッキーでした。(*^^)v。。
役目を終えた「こも」は、大事に保管されて来年の神事にも使用されるとのことでした。「おこわ」の争奪戦、あま市出版の『あま市ものしり読本』によれば、今は子どもたちで行われていますが、かつてこの神事の中心は大人(青年団)中心に執り行われ、かなり激しい争奪戦が行われていたとのことです。
約1時間半ほどで神事は終了しました。あっという間に終わった感じですが、大人たちが行っていた時代には、盛大で夕方近くまで行われていたようで、その激しさに子ともたちは近寄れなかったようですよ。このお祭は、現在文化庁から「記録作成の処置を要する無形民俗文化財」に選択されているとのことでした。由緒あるお祭ですね。
神事が終わって片付け作業が始まりました。ここで立ち去ることにしましたが、この日は暖かくて、本当に祭日和となりましたよ。春の到来とともに、各地でいろんな祭が執り行われる時期となってきましたね。素朴でも、とても魅力的なお祭が多くあります。また何処かへ出かけてゆったりと祭見物を行いたいものです。
水郷楽人の塵芥録HP版(クリックするとHPにジャンプします)
こちらは水郷楽人の塵芥録HP版です。各地の魅力的な祭見物に出かけた記録を収録した「水郷楽人の祭見物編」も順次更新中です。よろしければご覧くださいね。。